松下、富山の半導体工場で45nmシステムLSIの量産開始
世界初*、45ナノ メートル システムLSIの量産を開始
2007年 6月より量産開始
*2007年6月19日現在、当社調べ
【要 旨】
松下電器産業株式会社は、世界初の45nm(ナノメートル)[1]プロセスによるシステムLSIの量産を富山県 魚津市の半導体300mm工場で開始しました。本プロセスによる生産は、従来稼動させている65nmプロセスを基に、新たなプロセス技術を導入することにより実現しました。45nmプロセスでは、従来のシステムLSIに比べ回路の高密度化ができるだけでなく、低消費電力、高速化および省チップ面積化が可能となります。これにより、高度ユビキタスネットワークに対応したデジタル家電分野の世界の実現に貢献します。
【効 果】
従来の最も進んだ65nmプロセスのシステムLSIに比べ、45nmプロセスでは、電力消費量やチップ面積を約3分の2から約2分の1に削減することが可能です。一方デジタル家電はますます多機能化するため、回路規模が増大し、従来プロセスで過去のシステムLSIと同等の電力消費量や面積を維持することが困難になると言う問題が解決できます。したがって、従来と比較して、高機能かつ、高速、低消費電力が要求されるデジタル家電関連商品の進化に大きく貢献できます。
【特 長】
当社の45nmプロセスは以下の技術を開発・導入しています。
1.超微細加工の基本性能を決定する、開口率(NA)[2]が1を超える液浸ArFスキャナー[3]の導入と、当社独自の超解像形成技術[4]
2.微細化において高速化と低消費電力を両立させる、歪導入高移動度トランジスタ[5]の採用と、Low-k層間絶縁膜[6]を用いた高信頼性多層配線技術
3.高性能・高歩留を実現する高精度モデリングおよび製造容易化設計技術
【 工場概要 】
所 在 地:富山県 魚津市 東山800番地
生産品目 :デジタル家電用 45nm/65nmプロセス システムLSI
生産開始 :2007年6月 45nmプロセス システムLSI 量産開始
【 用語の説明 】
[1]nm(ナノメートル)
百万分の1ミリメートルを1ナノメートルといい、極微なものの寸法を表す単位。元素のなかで最も小さい水素原子の大きさは、約0.1ナノメートルです。
[2]開口率(NA:numerical aperture)
LSIのパターンを形成するための露光装置であるステッパーの解像度を決める要素の1つで、大きいほど解像度は高くなります。レンズの大きさと、レンズとウェハとの間の材料の屈折率で決まります。
[3]液浸ArFスキャナー
ステッパーにおける投影レンズとウェハ間を液体で満たしてレンズ径を大きくして、解像度を高める技術のことです。
[4]超解像形成技術
リソグラフィーの波長よりも小さなパターンを高精度に形成する技術のことです。
[5]歪導入高移動度トランジスタ
局所的なストレスをトランジスタに導入して電流駆動能力を高める技術のことです。
[6]Low-k層間絶縁膜
比誘電率の小さい層間絶縁膜を用いて、微細化に伴う配線遅延を削減する多層銅配線技術のことです。