忍者ブログ

ニュースリリースのリリースコンテナ第二倉庫

ニュースサイトなど宛てに広く配信された、ニュースリリース(プレスリリース)、 開示情報、IPO企業情報の備忘録。 大手サイトが順次削除するリリースバックナンバーも、蓄積・無料公開していきます。 ※リリース文中の固有名詞は、発表社等の商標、登録商標です。 ※リリース文はニュースサイト等マスコミ向けに広く公開されたものですが、著作権は発表社に帰属しています。

2025'02.07.Fri
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2007'07.25.Wed

タカラバイオ、RNA分解酵素によるエイズ遺伝子治療法についてサルの生体試験を開始

RNA分解酵素を用いたエイズ遺伝子治療法の有効性を
アカゲザルの細胞を用いた体外試験で確認できましたので、サルの生体試験に移行します


 タカラバイオ株式会社(社長:加藤郁之進)の細胞・遺伝子治療センターは、当社が開発したRNA分解酵素(MazF)を含有するレトロウイルスベクターを用いたエイズ遺伝子治療法の評価を、アカゲザルの細胞を用いて行ってまいりましたが、このほどサルのエイズウイルス(SHIV)に対する有効性が細胞レベルで確認できましたので、サルの生体を用いた評価試験を開始することになりました。

 エイズウイルス感染によってはじめてRNA分解酵素(MazF)を発現するように遺伝子構築されたヒトT細胞株と、エイズウイルス産生細胞とを共存させて培養すると、エイズウイルスの複製が効果的に抑制され、エイズ産生細胞は減少していくことがこれまでの試験管内での研究で明らかとなり、これらの研究成果は米国シアトルで開催された第10回米国遺伝子治療学会(10th Annual Meeting of the American Society of Gene Therapy、2007年5月31日~6月3日)などで発表しています。

 中国疾病予防管理センターより提供されたアカゲザル末梢血から採取したCD4陽性T細胞に、エイズウイルスの感染によってMazFを造りだせるように構築した遺伝子ユニットを、レトロウイルスベクターを用いて導入し、サルのエイズウイルス(SHIV)を感染させる実験を行いました。その結果、MazFが導入されていないT細胞ではSHIVが7日間で約100倍に増えたのに対し、MazFが導入されたT細胞ではSHIVは全く増えませんでした。
 このように、MazFをエイズウイルスの感染によって、はじめて造りだせる遺伝子ユニットが導入されたサルT細胞は、サルのエイズウイルスの増殖・複製を遮断するというすばらしい効果が確認できました。この結果、アカゲザルの生体を用いた試験を開始することになりました。

 また、独立行政法人 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター(つくば市)と共同で、MazFを用いたエイズ遺伝子治療の有効性を評価すべく、カニクイザルを用いた生体試験をも予定しています。


<参考資料>

【 語句説明 】

◆RNA分解酵素
 ニュージャージー医科歯科大学の井上正順教授は、大腸菌のトキシンのひとつであるMazFが、メッセンジャーRNA中のACAの塩基配列を特異的に認識して切断する機能を有する酵素であることを発見し、メッセンジャーRNAインターフェレースと命名しました。

◆エイズウイルス(HIV)
 後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスです。HIVはレトロウイルス科レンチウイルス属に属します。HIVは変異しやすいウイルスのため、ワクチンや抗HIV剤の開発を阻んでいます。HIVがT細胞などに直接感染することにより、あるいは感染細胞が非感染細胞に融合することにより、体内に広がります。
 HIVは血清学的・遺伝学的性状の異なるHIV-1とHIV-2に大別されます。HIV-1は、世界流行の主体となっており、全世界に分布していますが、HIV-2は主に西アフリカ地域に限局しています。これは、HIV-2がHIV-1と比較して感染性や病原性が低いためと考えられています。

◆SHIV
 サルを自然宿主とし、サルでエイズを発症するSIVと、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のキメラウイルスです。アカゲザルやカニクイザルといった医学実験用サルを用いて動物モデル系に利用することが出来るウイルスです。

◆アカゲザル
 体長 50cm程度、尾長 25cm程度のオナガザル科の哺乳類です。中国南部からインド・インドシナなどの北部に分布し、実験動物として重要とされ、人工繁殖されています。

◆レトロウイルスベクター
 レトロウイルスとは、一本鎖RNAをゲノムとする約0.1 μmのウイルスで、このウイルスが感染した細胞では、RNAゲノムから合成されたDNAが染色体に組み込まれます。遺伝子治療用ベクターとして、レトロウイルスの一種であるマウス白血病ウイルス(MoMLV:Moloney murine leukemia virus)を特別な細胞の中でのみ増殖できるように改変し、自己増殖能を奪ったものが広く用いられています。このベクターを使用すれば種々の細胞に遺伝子導入を行うことができ、安定した形質発現が期待できます。

◆CD4陽性細胞
 細胞表面マーカーであるCD4が陽性であるT細胞のことです。活性化されたCD4陽性細胞は、他のT細胞の機能を誘導したり、B細胞に抗体産生を誘導したりし、免疫応答を増強します。HIVはCD4陽性細胞に感染します。

◆カニクイザル
 体長 50cm程度で、尾が体長よりやや長いことを特徴とするオナガザル科の哺乳類です。東南アジア・東インドに分布し、実験動物として重要とされて、人工繁殖されています。

PR
Post your Comment
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
trackback
この記事のトラックバックURL:
[5553] [5552] [5551] [5550] [5549] [5548] [5547] [5546] [5545] [5544] [5543
«  BackHOME : Next »
広告
ブログ内検索
カウンター

忍者ブログ[PR]