雪印乳業、乳に含まれるタンパク質「MBP」の持つ機能性に関する研究成果を発表
2007年春季学会発表について
MBP(R)の機能性に関する研究発表
雪印乳業株式会社(本社:東京都新宿区代表取締役社長:高野瀬忠明)は、中期経営計画における二つの重点施策、『チーズ事業の戦略的拡大』と『乳の機能性のさらなる探求』を柱に、真の乳(NEW)・乳製品NO.1カンパニーを目指し、強いブランドづくり、強い商品づくりに取り組んでいます。具体的には、特に国産ナチュラルチーズを核とした事業の展開を進める一方で、乳の新しい可能性と神秘を追い求める取り組みを継続しております。
このたび、乳に含まれるタンパク質MBP(R)の持つ機能性に関する研究成果につきまして、3月24日より東京農業大学において開催される「日本農芸化学会2007年度大会」において下記のとおり学術発表いたしますのでご案内申し上げます。
記
◆ 研究発表概要
1. 高齢者における乳塩基性タンパク質(MBP(R))の骨代謝改善効果
(東京大学、老人研究所との共同研究)
森田如一、小野愛子、川上浩、吉内一浩、朴眩泰、青柳幸利
2. 食物アレルギー性腸炎モデルにおける骨代謝因子の解析
(東京大学との共同研究)
小野愛子、足立(中嶋)はるよ、森田如一、川上浩、八村聡志
3. 牛乳塩基性蛋白質複合体の摂取はNODマウス(*)の1 型糖尿病の発症を予防できる
(群馬大学との共同研究)
榎本淳、竹内隆紘、平塚大輔、松山博昭、川上浩
◆ 研究発表内容の要約
1. 高齢者における乳塩基性タンパク質(MBP(R))の骨代謝改善効果(東京大学、老人研究所との共同研究)
これまでの当社の研究で、成人女性、更年期女性、成人男性および若年女性における乳塩基性タンパク質(MBP(R))の効果が確認されております。(*参考資料参照)
本研究では、ボランティアを募集し、「健康な高齢女性」におけるMBP(R)の骨代謝に及ぼす効果を検証いたしました。
ボランティアを無作為に2グループに分け、片方のグループ(MBP(R)グループ)にはMBP(R)配合飲料を、もう一方のグループ(対照グループ)にはMBP(R)を含まない飲料を、1年間にわたり毎日50ml飲用していただきました。
その結果、踵骨の骨密度と相関のある音響的骨評価値(Osteosonic Index: OSI)の改善が認められました。また、血液や尿中の生化学的指標から、MBP(R)グループでは対照グループと比較して、骨の破壊が抑えられていることが明らかになりました。
今回の結果から、MBP(R)は「健康な高齢女性」の骨の健康にも有効であると考えられます。
*参考資料
[これまでの研究]
1999年 成人女性に対する効果を確認
2000年 成人男性に対する効果を確認
2005年 更年期女性に対する効果を確認
2006年 健康な若年女性(女子大生)に対する効果を確認
ホームページにて紹介しております。
⇒ http://www.snowbrand.co.jp/mbp/index.html
2. 食物アレルギー性腸炎モデルにおける骨代謝因子の解析(東京大学との共同研究)
乳塩基性タンパク質(MBP(R))が、成人女性から高齢者まで、広い世代において骨の代謝を改善することをこれまでに報告してまいりました。
本研究では、MBP(R)の作用メカニズムを調べることを目的とし、東京大学が保有する食物アレルギーモデル動物を用いたところ、このモデルが骨代謝の研究に有用であることがわかりました。そこで、このモデル動物から抽出した細胞にMBP(R)を添加すると、骨吸収に関係する遺伝子が抑制されました。
このことから、MBP(R)の作用メカニズムの一つとして、消化管免疫を介している可能性が示唆されました。
3. 牛乳塩基性蛋白質複合体の摂取はNODマウス(*)の1型糖尿病の発症を予防できる(群馬大学との共同研究)
糖尿病にはインスリン依存性糖尿病(別名:1型糖尿病)とインスリン非依存性糖尿病(別名:2型糖尿病)があります。インスリン依存性糖尿病は、通常は自分を守るために存在するリンパ球が自分自身の組織を攻撃して障害を起こす、自己免疫疾患に分類されます。
本研究では、1型糖尿病を自然に発症する動物にMBP(R)を与えたところ、その発症を抑制する効果があることがわかりました。また、その効果は、MBP(R)に含まれるタンパク質であるラクトパーオキシダーゼが示すことを見いだしました。
* NODマウス: ヒト1型糖尿病モデルマウス(non-obese diabetic mouse)
◆ 学会開催概要
・日本農芸化学会2007年度大会
会期 2007年3月24日(土)より3月27日(火)まで
会場 東京農業大学(東京都世田谷区)
以上