京セラ、ノイズ対策と静電気対策をワンチップ化した4連EMIフィルタアレイを量産開始
ESD保護機能付き2012型4連EMIフィルタアレイ
「KVA21シリーズ」の量産開始について
京セラ株式会社(社長:川村 誠)は、2012型(2.0×1.25×0.7mm(typ.)サイズ)で分布定数型の4連EMIフィルタアレイにおいて、ノイズ(EMI)対策と静電気(ESD)対策の2つの機能をワンチップ化した「KVA21シリーズ」を開発しました。本年7月よりサンプル供給を行い、8月より量産開始しますのでお知らせいたします。
本シリーズは、従来より展開しているEMIフィルタ「KNAシリーズ」の誘電体セラミックスを米国AVX社独自開発のバリスタ材料に置き換え、高精度の電磁界シミュレータを用いた最適設計をおこなうことにより、EMIフィルタにESD保護機能を付加し、かつ従来製品と同等の優れたフィルタ特性と小型サイズを実現したものです。実装面積の省スペース化等に貢献します。
■製品概要
種 別:ESD保護機能付き積層チップEMIフィルタアレイ
名 称:KVA21シリーズ
サイズ:2012型 2.0×1.25×0.7mm(typ.)
生産工場:鹿児島国分工場
生産能力:月産1,000万個
■主な仕様(静電気耐量 IEC/EN 61000-4-2準拠 接触放電8kV)
添付資料をご参照ください。
■開発の背景
近年、携帯通信端末を始め、AV機器やゲーム機等の各種デジタル機器は、小型化、高機能化、多機能化が進んでいます。このような中、回路のさらなる高集積化によりICの配線はますます微細化し、静電気放電に対する影響を受けやすくなってきました。また、携帯通信端末では、昨今のデザイン優先の筐体設計のために接地電位が不安定となり、ESDに対する耐性が低下することからその対策が求められています。
静電気放電は、IC回路の誤動作や故障の原因となるため、機器にはこれを回避するチップバリスタなどが搭載されています。機器の小型化が進む中、実装部品の点数削減や実装の省スペース化が求められており、このたび、ノイズ対策部品にESD保護機能を付加した低域通過型LCフィルタ「KVA21シリーズ」を開発しました。
■「KVA21シリーズ」の特長
1.独自開発のバリスタ材料によるESD耐性の実現
当社関連会社である米国AVX社の優れた材料開発技術により、低温で焼成できるEMIフィルタに最適なバリスタ材料を開発しました。この新材料を用い、高精度の電磁界シミュレータによる回路設計により、L(インダクタ部)のコイル形状とC(コンデンサ部)の配置を最適化しました。8kVのESD接触放電(IEC/EN 61000-4-2準拠)に対するESD耐性が実現しています。
2.分布定数型LCフィルタによる広帯域、高周波帯域における優れた減衰特性
ESD保護機能を付加しながらも挿入損失が小さく、800MHzから2.5GHzの広い帯域において従来のKNAシリーズと同等の急峻な減衰と、30dBを超える高い減衰特性を示すフィルタ回路を構成しています。
3.単一構造によるフィルタの最適設計により高い信頼性を確保
単一のバリスタ材料でLCフィルタを形成しており、高い信頼性を確保しています。
4.環境性能
鉛フリー、RoHS指令対応の環境配慮型製品です。